2023/10/11 4~9月の建設業倒産41%増、2年連続前年同期超え/東京商工リサーチ

【建設工業新聞  10月 11日 2面記事掲載】

東京商工リサーチが10日発表した2023年度上半期(23年4~9月)の建設業の倒産件数は、前年同期比41・0%増の852件だった。上半期としては2年連続で前年同期を上回った。負債総額は13・8%増の757億7600万円となり、3年連続で前年同期を上回った。負債10億円以上の大型倒産件数は4件(前年同期比1件減)と減少したものの、「1億円以上5億円未満」や「5000万円以上1億円未満」などが増加し負債総額を押し上げた。

倒産件数の内訳を見ると、業種別は総合工事業351件(33・4%増)、職別工事業317件(60・9%増)、設備工事業184件(27・7%増)。

原因別は「受注不振(販売不振)」が611件(48・3%増)と全体の7割超を占めた。次いで「既往のしわ寄せ(赤字累積)」が135件(32・3%増)、代表者の病気や死亡を含む「その他(偶発的原因)」が31件(47・6%増)だった。

これらの原因とも一部重なっている「新型コロナウイルス関連」が228件(84件増)、「人手不足関連」が76件(28件増)、「物価高」倒産が71件(47件増)あった。

地域別ではほぼ全国的に倒産件数増加の兆しがうかがえた。調査対象全9地区が前年同期を上回り、中国を除く8地区は2桁以上の伸び率を記録した。

同社によると、直近の建設市場は資材の高騰や労務費の上昇などが着工の先送りや建設計画の見直しにつながり、建設会社の資金繰り悪化を招いていると分析。今後は下請色が強く価格転嫁が反映されにくい職別工事業者などの中小・零細企業を中心に、今後倒産が本格的に増加する可能性を懸念している。

24年4月から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制に対応し、交代要員確保など労務費のさらなる上昇も避けられないとみている。

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