2023/09/11 国交省/契約適正化へ監視体制強化「建設Gメン」始動、上限規制対応など

【建設工業新聞  9月 8日 1面記事掲載】

国土交通省は官民の大規模工事を対象に、請負契約で工期や請負代金が適切かどうか監視する調査体制を強化する。新たに担当職員を「建設Gメン」と位置付け、2025年度以降の大幅な増員を目指す。24年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用に対応。11年連続で上昇している公共工事設計労務単価が技能者の賃上げ原資としてきちんと確保されているかも含め、調査内容をより充実させる。

建設業関連制度を担当している国交省の職員が元請各社の支店や現場所長を直接訪問し、工期や請負代金の設定状況をヒアリングし改善すべきことをその場で指摘する従来の「モニタリング調査」を強化する。対象の現場は実際に稼働している官民の大規模工事から抽出。▽発注者・元請▽元請・下請▽下請・下請-の三つの請負契約について調査する。

23年度のモニタリング調査は時間外労働の上限規制適用を控え、新たに厚生労働省と連携して展開中。工期適正化の調査や改善を重視した従来の取り組みに加え、労働基準監督署の職員にも同行してもらい時間外労働の上限規制に対応するための「訪問支援」も始めている。

国交省は建設業が持続可能な産業であり続けるためには、将来にわたる担い手の確保・定着に向け技能者の処遇改善を後押しできる安定した経営が不可欠と判断。そのため請負契約が適正な労働時間や賃上げにつながるような内容になっているか監視体制を強化することにした。

国交省は指導権限を強化する建設業法改正案を検討している。最短で25年度人員要求で調査担当職員の大幅な増員を求める。厚労省や中小企業庁の「下請Gメン」との連携も視野に入れている。

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