2023/08/31 振興基金/建設系学科の高校教員対象にICT研修開く、利根沼田テクノアカデミーで

【建設工業新聞  8月 31日 2面記事掲載】

建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)は28~30日の3日間、建設系学科の高校教員を対象とした第1回「建設ICT技術教育研修」を群馬県沼田市内で開いた。建設職人育成校の利根沼田テクノアカデミー(桑原敏彦校長)と連携して実施。初めての試みのためテスト開催とし、関東近郊にある高校の教員6人が参加した。研修を体験してもらい、今後の教育現場で展開していく上での課題などを意見交換した。

研修は、同アカデミーのドローン技能訓練校で行った。教員が建設現場で利用されている最新のICTを学び、生徒に的確に伝えられるようにするのが目的。生徒が建設業に対する興味や関心を高めるには、教員側の研修も必要と考え開催となった。

初日は建設業でのICT利用状況と背景、3Dデータの活用などを説明した。2日目は屋外実習としてUAV(無人航空機)を飛ばして撮影した画像データを点群測量したり、ソフトに読み込ませデータを修正したりした。3日目はレーザーで対象の形状を検知するLiDAR(ライダー)やGNSS(全球測位衛星システム)を使った測量や、研修を通じて、どう生徒らに教えるかなどで意見を交わした。

研修を受講した教員からは「(教員も)ブラッシュアップしないとソフトが新しくなったら使えない。生徒に伝える前に自分たちが学ばないといけないと分かった」との意見が出た。意見交換では「生徒が授業を受けた際、どんな仕事につながるのかイメージが湧いてくるようにするにはどうしたらいいか」といった質問に対し、東京都立葛西工科高校建築科の東君康先生が「生徒らに建物ができるまでの一連の流れを実際に経験してもらう仕組みが必要だ」との考えを示した。

視察した谷脇理事長は「若い人たちはICTなどを身近に感じ、操作にもすぐ慣れるだろう」と述べ、研修の成果に期待を寄せた。振興基金では来年以降も人数を増やして実施したい考え。全国建設関係訓練校等連絡会議(会長・桑原利根沼田テクノアカデミー校長)での展開も検討している。桑原校長は「ドローンを飛ばして実習できる場所は都内にはない。生徒に来てもらうことも前提にしている」と話している。

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