2023/08/29 国交省/公共建築工事の積算基準見直し着手、型枠工などで先行

【建設工業新聞  8月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共建築工事の積算に関する統一基準「公共建築工事標準単価積算基準」の見直しに向けた検討に着手した。現在使用している材工一式の積算単価について、労務費や材料費などの内訳が把握可能な単価の設定方法を確立し、基準に反映する。先行して2022年度に歩掛かり調査を実施済みの型枠工と鉄筋工を対象に、新たな基準案を24年度に作成。同年度以降の新基準適用を目指す。必要に応じてほかの工種でも材工分離の積算単価へと切り替えていく。

積算に関する官庁営繕関係の統一基準を審議している「公共建築工事積算研究会」の下部に産学官の委員で構成するワーキンググループ(WG、座長・遠藤和義工学院大学建築学部建築学科教授)を設置。23日に東京都内で初会合を開き、基準見直しに向けた議論を開始した。

WGで議論を重ね、24年度に型枠工と鉄筋工の積算単価で基準案をまとめる。親会の研究会などの審議や了承を経て、基準化する。

現在の公共建築工事の積算では、調査機関が調査した元下間の取引価格「市場単価」を採用している。同単価は労務費や材料費、機械器具費、下請経費込みの材工一式の単価だ。適用工種は建築、電気設備、機械設備の各工事の18工種40分類。

中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)合同の基本問題小委員会では現在、「標準労務費」の議論が進む。標準労務費には直轄工事の積算単価を活用することを想定している。こうした動きを踏まえ、材工一式単価に対し、労務費部分の見える化を検討することにした。同単価に含まれる内訳ごとに歩掛かりを設定する方向だ。より現場実態を反映した適正な予定価格の設定を目指す。

検討に先駆けて、22年度に型枠工と鉄筋工で歩掛かり調査を実施。調査票を基に完了後の工事などを対象に調べた。結果を検証するため、23年度以降に国交省直轄の施工中の現場でも歩掛かりを調査する。並行して、23~24年度にコンクリート打設工事、配線工事、ダクト設備工事の3工種で歩掛かり調査を行う。

コンクリート打設など3工種の新たな基準案は、WGで確立する労務費などの内訳を可視化する手法を基に作成する予定だ。

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