2023/08/24 長野県内調査・設計業の労働環境アンケート/人手不足が深刻、県が関係団体調査

【建設工業新聞  8月 24日 5面記事掲載】

◇賃上げは進展、さらに取り組み必要

長野県は調査・設計業の関連団体を対象に行った労働環境アンケートの結果をまとめた。95%以上の企業が3年連続で賃上げを実施していた一方で、人手不足と回答した企業は約90%に上り、深刻な現状が浮き彫りとなった。こうした結果を受け県は「今までと同じ仕事の進め方ではいずれ立ちゆかなくなる」(新田恭士建設部長)と危機感を持ち、新技術を取り入れた生産性向上や、適切な工期設定といった働き方改革の取り組みをさらに推進する。

県や県内の調査・設計業団体などでつくる「『地域を支える調査・設計業』検討会議」(座長・小松誠司長野県建設部次長)を22日に長野市内で開き、アンケート結果を公表した。

アンケートは▽長野県測量設計業協会▽建設コンサルタンツ協会長野関東支部長野地域委員会▽日本補償コンサルタント協会関東支部長野県部会▽長野県地質ボーリング協会▽長野県建築士事務所協会-の5団体に所属する企業に実施。計88社から回答を得た。

過去3年間の賃上げ状況に関する質問(技術職)には69社が回答。このうち66社が連続で賃上げし、3社が据え置きと答えた。事務・営業職の場合は回答59社中56社が連続で賃上げし、3社が据え置きとなった。若手の賃上げ比率を高く設定する企業が多く、若手だけを対象とする企業も見られた。

従業員数については87社が回答。「不足している」が40社、「やや不足している」が38社となり、不足に直面しているとの回答が計78社を占めた。人手不足が深刻な現状が明らかになった。

総合評価方式の賃上げ実施企業に対する加点評価措置について意見を募ったところ、「評価方式の変更についてもっと早く周知してほしい」「加点項目となるのはいいが、毎年の賃上げは無理がある」などの声が挙がった。

県建設部技術管理課の担当者は「賃上げや担い手確保にしっかり取り組んでいる企業がほとんどだが、まだ課題は多い」とアンケート結果を評価。「新技術による生産性向上などでしっかり対応する必要がある」とした。アンケートでは生産性向上に関して、「BIM/CIMを取り入れたいが、設備投資や教育訓練で多額の持ち出しになっている」「BIM/CIMにかかる設計単価の見直しを強く求める」との要望が寄せられた。

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