2023/07/28 基本問題小委/中建審に標準労務費WG設置へ、賃金行き渡り確認にCCUS活用想定

【建設工業新聞  7月 28日 1面記事掲載】

中央建設業審議会(中建審)・社会資本整備審議会(社整審)合同の基本問題小委員会の第3回会合が27日に東京都内で開かれ、国土交通省が受注者による廉売行為を制限するため検討している「標準労務費」の制度設計の方向性を示した。改正建設業法に基づき中建審が作成・実施勧告した「工期に関する基準」と同様、標準労務費の内容も中建審にワーキンググループ(WG)を設置し議論してから勧告する。適切な賃金行き渡りを確認する新たな仕組みとして建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用も想定。まず公共工事で方策の検討や試行を探る。

今回の会合では、6月29日の前回に国交省が提示しおおむね了承された▽請負契約の透明化による適切なリスク分担▽賃上げ▽働き方改革-の3テーマで制度改正の方向性について、それぞれ適切に運用していくための論点を示したり意見を聞いたりした。

賃上げの制度改正の議論では、前回会合に廉売行為を制限するための新たな基準として標準労務費の考え方を提示。単位施工量当たりの標準的な労務費と位置付け中建審が勧告する。

工種ごとに一つの標準労務費を東京の標準的な仕様・条件で設定し、それ以外の地域や仕様、条件は補正して対応。「設計労務単価×歩掛かり」相当の水準を見込む。標準労務費を一定程度下回った取引には許可行政庁が注意や勧告を行う。

今回の会合では、中建審にWGを設置し実際に勧告する標準労務費の具体的な範囲や内容を詰めていく方向性を示した。今後の制度設計では工事ごとの規格が多種多様であることを考慮し、工種によって幅を持たせた勧告とすることを検討する。

勧告の段階的な実施や労務比率の高い工種に限る可能性も探る。CCUSの活用を念頭に下請も含め技能者に適切な賃金が行き渡っているか確認する方策も詰めた上で、まず公共事業から試行していきたい考えだ。

請負契約の透明化による適切なリスク分担では、新たにオープンブック・コストプラスフィー方式に特化した標準約款の制定を提示。外部の専門家や実務者で組織する検討会を新たに設け、事務手続きの煩雑性回避や受発注者間の公平性確保の観点から策定する。

今後は8~9月に予定する次回以降の会合で基本問題小委員会としての議論の成果をまとめていく。

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