2023/07/21 政府/国土強靱化推進会議が初会合、5か年加速化対策3年目までに9・9兆円措置

【建設工業新聞  7月 21日 1面記事掲載】

政府の国土強靱化推進本部(本部長・岸田文雄首相)の下部組織「国土強靱化推進会議」が発足し、20日に東京都内で初会合を開いた=写真。国土強靱化政策の根幹となる「基本計画」の改定案や「年次計画2023案」について審議し、了承した。年次計画案では「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の3年目(23年度)までの進行状況を事業費ベースで提示。全体の事業規模15兆円の3分の2に当たる9・9兆円が予算措置されたとした。

次期基本計画は7月末の国土強靱化推進本部での決定と閣議決定を目指す。年次計画は今夏の同本部決定を予定する。

国土強靱化を「国家百年の大計」として安定的に継続実施していくため、先の通常国会で成立した改正国土強靱化基本法によって、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会を法的根拠を持つ推進会議に格上げした。

岸田首相が同日付で推進会議の委員17人を任命。懇談会の座長を務めていた小林潔司京都大学名誉教授・京都大学経営管理大学院特任教授が議長に就任した。小林議長を含む14人が懇談会からの横滑りで、残る3人が「情報」「産業・流通」「防災・ライフライン」各分野の専門家として加入した。

初会合の冒頭、谷公一国土強靱化担当相は今年も大雨など自然災害が発生していることを踏まえ、「わが国では防災・減災、国土強靱化の施策を強力に進めていかなければならないと改めて認識している」と話した。

年次計画案で示された5か年加速化対策の進行状況(事業費ベース)によると、23年度時点で措置された9・9兆円のうち、国費は5兆円。同対策に盛り込んだ123対策について、2年目が完了した22年度末時点の状況も整理した。

改正法によって5か年加速化対策の後継計画を含む「実施中期計画」の策定が規定された。会合で、内閣官房国土強靱化推進室の担当者は「計画がどのような形でいつからスタートするか、現段階では説明材料はないが、少なくとも5か年加速化対策後に切れ目なく次の計画を定めることが、法律で担保されたことは大きい」と強調した。

推進会議では今後、重要業績評価指標(KPI)という定量的な評価に加え、防災インフラ整備によって発現する効果など、定性的な要素を含めて総合的に実効性を評価する手法についても検討していく。

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