2023/06/02 専門工事会社のインボイス準備、4割が対応方針未定/建専連調査

【建設工業新聞  6月 2日 1面記事掲載】

10月に導入される消費税の仕入税額控除の新方式「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」を巡り、建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は一人親方などの免税事業者との取引の機会が多いとみられる専門工事会社の準備状況を調査した。制度導入を1年後に控える時点で、免税事業者との取引に関する今後の対応方針が未定だったのは4割程度を占める。まずは取引先と十分に話し合って適切な対応につなげることが重要だ。

調査は建専連傘下の専門工事34団体の所属企業とその下請企業が対象。制度導入まで1年を切った2022年10月24日~12月16日に調査票827件を回収した。

インボイス制度が導入されると免税事業者との取引では仕入税額控除を行えなくなる。課税事業者に転換してもらえば控除は可能になるが、その場合は取引先の事業者に新たな税負担が生じる。制度導入後の税負担の在り方を前もって決めておかなければ混乱が生じかねない。

建専連の調査によると、取引先に占める免税事業者の割合は▽8割以上=10・1%▽5~7割=5・9%▽2~4割=13・7%▽1割以下=22・3%-で、半数以上は免税事業者と取引関係を持っていた。主要な許可業種が「内装仕上げ」や「大工」の企業は、他業種よりも免税事業者との取引が多い傾向がある。

免税事業者との取引に関する今後の対応方針は、一人親方の場合▽課税事業者に転換してもらい取引を続ける=34・6%▽免税事業者のまま取引を続ける=19・7%▽社員として雇用する=0・9%▽取引をやめる=0・9%▽分からない=41・2%。

一人親方ではない免税事業者の場合は▽課税事業者に転換してもらい取引を続ける=44・8%▽免税事業者のまま取引を続ける=15・4%▽取引をやめる=0・9%▽分からない=37・7%-だった。

今後の対応方針で2割程度だった「免税事業者のまま取引を続ける」と回答した企業のうち、控除できない消費税相当額を自社で負担する形で「従来通りの価格で取引する」との回答は59・3%で半数を超えた。「消費税相当額を値引いた価格で取引する」との回答は30・8%だったが、主要な許可業種が「内装仕上げ」の企業の回答割合は7割超に達し他業種より多かった。

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