2023/03/29 国交省/総合評価方式改善の方向性提示、技術提案・交渉方式の積極活用など

【建設工業新聞  3月 29日 2面記事掲載】

国土交通省は直轄工事で運用する総合評価方式の改善に向けた検討の方向性を明らかにした。技術提案評価S型では技術提案による加算点に差がつく方式や、提案内容に対して適切な価格での入札が進む仕組みを検討する必要性があると指摘。技術提案評価A型は最近の発注で選択されていないため、技術提案・交渉方式との使い分けを検討し、特に工事目的物の変更を伴う提案を求める工事では技術提案・交渉方式の積極的な活用が必要ではないかとの考えを示した。

有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の「建設生産・管理システム部会」が28日に開いた会合で説明し委員らの意見を求めた。

総合評価の運用実態として施工能力評価1型・2型と技術提案評価S型で技術点の最高得点者が最低価格で落札しているケースが多く、総合評価の本来の目的であるVFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方とかけ離れていると指摘。工事特性に応じ総合評価以外の発注方式を検討・拡大すべきとの考えから、まずは担い手不足が顕在化している維持・修繕工事を対象に同懇談会の「維持管理部会」で具体策を議論している現状を説明した。

技術点の得点差が薄まっている要因として、技術点のうち加算点(40~70点)に対して標準点(100点)の割合が高いことに言及。ただし標準点の引き下げは新規参入の障壁となり受注者の固定化につながりかねず、まずは関連事例の分析が必要との認識を示した。

技術提案評価A型は手続きの長さや契約後の条件変更リスクなどを背景に2019年度以降の活用実績がなく、実態として技術提案・交渉方式に置き換わっている。受注者目線でも仕様や前提条件が確定できない工事で技術提案・交渉方式の積極的な活用に期待する声が挙がっていることも紹介した。

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