2023/02/16 北海道/日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震減災計画、10年で死者8割減へ

【建設工業新聞  2月 15日 6面記事掲載】

北海道は13日、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震減災計画を発表した。計画期間は2031年度まで。▽地域防災力の強化▽災害に強い地域づくりの推進▽地域特性に応じた防災体制の整備-の三つを基本政策とし、減災を推進するための180項目の具体的な対策を整理。計画期間の10年間で想定される死者数(日本海溝モデルで最大約14万9000人、千島海溝モデルで最大約10万6000人)を8割減少させることを目標に掲げた。

計画の基本理念は▽命を守る▽被害を最小限に抑える▽迅速かつ確実に復旧・復興する-の3項目。減災の推進に向けては、三つの基本政策の下に「耐震化の推進」「災害に強い施設づくり」など七つの政策の柱を設け、基本施策31分野、180の具体的な対策を明示。事前対策と発災後の体制整備を段階別に整理し、さらに事前対策をソフト対策とハード対策に区分して整理した。

主なハード対策を見ると、予防型ハード対策では耐震化の推進を掲げ、民間施設では住宅・建築物や観光施設・文化財、ライフライン、情報インフラなどの耐震化を進め、住宅の耐震化率を25年度までに95%以上とすることを目標とした。公共施設では目標耐震化率を多数の者が利用する建築物で25年度までにおおむね解消、社会福祉施設は25年度までに95%、公立小中学校は27年度までに100%に設定した。

発災型ハード対策では、避難場所・避難所の確保に向け、避難施設の計画的な整備や指定避難所以外の避難所の確保、津波対策に関する避難場所指定などを推進する。津波に強い地域構造の構築に向け、積雪寒冷に配慮した避難路の整備や海岸施設の耐震化・かさ上げ、海岸防災林の整備、公共施設の高台などへの移転推進などを盛り込んだ。

対策の推進に向けては、積雪寒冷地特有の課題や太平洋沿岸地域の特性など、地域特性を踏まえた留意事項を整理。▽防災教育の充実▽積雪等を踏まえた適切な応急対応の推進▽低体温症のリスク低減▽要配慮者への配慮▽多様な手段による避難の検討▽広域連携体制の構築-の6項目を挙げた。

想定される被害は、全壊数が千島海溝モデルで最大約5万1000棟、日本海溝モデルで最大約13万4000棟、死者数は千島海溝モデルが最大約10万6000人、日本海溝モデルが約14万9000人、低体温症要対処者数は千島海溝モデルで約1万5000人、日本海溝モデルで約6万6000人と推計されている。

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