2021/12/14 国交省/港湾工事のCO2排出量算定手法確立へ/有識者会議初会合、21年度内に指針

【建設工業新聞  12月 14日 1面記事掲載】

国土交通省は港湾土木工事が排出する二酸化炭素(CO2)の量を算定する統一的な手法の確立に向け、有識者や業界団体で構成する作業部会を13日設置した。陸上土木工事の手法を参考に、港湾工事特有の事情を加味。算定手法を確立し、削減の数値目標を設定して脱炭素の取り組みを強化する考えだ。議論を通じ、算定手法を示すガイドラインを年度内に策定する。

「港湾工事におけるCO2の排出量削減に向けた検討ワーキンググループ(WG)」(座長=岩波光保東京工業大学環境・社会理工学院土木・環境工学系教授)を設置し、同日初会合を開いた=写真。業界団体は▽日本埋立浚渫協会▽日本港湾空港建設協会連合会▽日本海上起重技術協会▽全国浚渫業協会▽日本潜水協会-の5団体が参加した。

WGは日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の取り組みを参考に、作業船の使用など港湾工事特有の事情を加味して算定手法を確立する。日建連は会員企業の排出量を調査し、毎年度「CO2排出量調査報告書」をまとめている。「建設業の環境自主行動計画」も1996年以降策定し、削減量の数値目標を明示して取り組みの実効性を保ってきた。

国交省はカーボン・ニュートラル・ポート(CNP)の取り組みの中で、港湾工事の脱炭素化を柱の一つに位置付けている。有識者会議「CNPの形成に向けた検討会」(座長・小林潔司京都大学経営管理大学院特任教授)は8月に取り組みの方向性を示した。

建設現場の生産性向上策i-Constructionの推進が対策の要となる。民間保有の作業船は更新・改修時に脱炭素化を促す考えで、補助制度の創設を視野に入れる。CO2吸収型コンクリートなども積極活用。港湾構造物には藻礁の機能を持たせ、海洋生態系がCO2を吸収する「ブルーカーボン」の機能を活用する。

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