2021/10/29 時間外労働の上限規制、「対応可能」4割に満たず/さらなる対応必要/日港連

【建設工業新聞  10月 29日 2面記事掲載】

日本港湾空港建設協会連合会(日港連、林田博会長)は2021年度の「事業実態調査報告書」をまとめた。全会員を対象に働き方改革の取り組み状況を確認。24年度から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制に現時点で対応できるか調べたところ、「可能と思う」と答えたのは4割弱にとどまった。引き続き対策の柱になる週休2日の徹底など、受発注者双方のさらなる積極的な対応が必要になりそうだ。

働き方改革の取り組み状況調査では、港湾・空港工事の休日確保や残業などの状況を確認した。調査時点は21年3月31日。全会員1037社にアンケート票を配布し、34・5%の358社から回収した。

時間外上限規制の達成見込みは、「可能と思う」が36・7%(前年度比7・1ポイント低下)、「かなりの努力が必要」が46・0%の144社(6・2ポイント上昇)と推移。建設業への適用開始まで2年半後に迫る中、前年度に比べより厳しい状況になっていることを伺わせる。「現時点では何とも言えない」も17・3%の54社(0・9ポイント上昇)あった。

時間外上限規制の達成見込みに関する内訳を10地域別に見ると、「可能と思う」の割合が全国平均を上回ったのは東北(42・9%)、関東(38・5%)、北陸(60・0%)、中国(40・0%)、四国(41・9%)の5地域。一方で近畿は回答数が20社と少なかったものの、わずか15・0%にとどまる。

20年度に港湾・空港工事に携わった職員556人の残業時間も調査。法定内の範囲にとどまっていたのは月間の45時間以下で42・3%の235人(前年度比4・6ポイント上昇)、年間の360時間以下で40・6%の226人(1・0ポイント上昇)となっており、依然として改善の余地が大きい。

残業が多い理由は、回答534人のうち32・2%の172人が「発注者対応の書類が多い」と回答。次いで28・1%の150人が「工程上の都合(潮待ち作業など)」、16・5%の88人が「現場の配員不足」、10・5%の56人が「土日を閉所するための残業」、5・6%の30人が「社内書類が多い」の順に続いている。

建設業に適用される時間外上限規制は、原則で月45時間・年間360時間。特別条項付き36協定を結ぶと休日出勤も含め月100時間未満、年間720時間以内が上限になる。

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