2021/08/30 赤羽一嘉国交相/改良復旧で安全な地域づくりを/九州北部の大雨被災地域視察

【建設工業新聞  8月 30日 13面記事掲載】

赤羽一嘉国土交通相は25、26日に8月の大雨で被害を受けた九州北部各地域を視察した。4年連続5回目の内水被害が発生した福岡県久留米市内を26日に視察した後に会見=写真。繰り返し災害が発生している地域の住民の暮らしを守り、経済活動の基盤とするためにも再発防止策に取り組み、「元の状態に戻す従来型の復旧だけではなく、『改良復旧型』を念頭に安全・安心な地域づくりを目指す」と訴えた。

視察では土砂災害が発生した長崎県の雲仙地域、六角川で大規模な浸水被害が生じた佐賀県武雄市、福岡県久留米市ではポンプ増設工事が計画されている古賀坂排水機場など各地を訪れ、九州地方整備局担当者などから説明を受けた。地元首長らとの意見交換や要望の聴取などの行程もこなした。

2日間の視察を総括した26日の会見では、雲仙地域は「半島と火山が一体となった地域特性に合わせた対策を講じなければならない」、ハザードマップに示された浸水想定地域で繰り返しの浸水被害が起こった六角川では「低地で軟らかい土壌であることも加味しながら対応し、貯水池整備に対する地元の協力もお願いしなければならないだろう」などと述べた。

国交省は久留米市にある古賀坂排水機場で、総合内水緊急対策事業として本年度から約38億円の事業費でポンプ増強に向けた工事に着手する。完成は23年度を予定。来年の出水期には間に合わないが「少しでも早く整備を行うことに加え、ポンプ車の応急派遣や県の河川改修への支援などを含め、国、県、市の3者が力を合わせて浸水被害を軽減できるよう取り組む」(藤巻浩之九州整備局長)とした。

佐賀県庁で行った山口祥義知事との意見交換で赤羽国交相は「(降雨を)有明海に流すような工夫も考えていかなければならないかもしれない」とも指摘。激甚災害が頻発するような地域に対しては「予算の傾斜配分を行っていかなければならないだろう」との考えも示した。

国交省では、これまでの河川管理者単位で行う治水対策から上下流、本川、支川をふかんした流域治水の考え方に移行し、現在、109の1級水系で協議会を立ち上げて、関係者一体となった取り組みを進める。毎年のように記録を更新する想定外の豪雨が降る状況の中、赤羽国交相は「協議会に最新データを提示しながら河道掘削の在り方など、より良いオペレーションが行えるよう議論をしていくことになるだろう」と述べ、現行の河川改修の基準を超えた対応に踏み込む可能性も示唆した。

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