2010/10/12 国交省/中小企業の資金繰り支援制度拡充/補正予算案に関連費計上

【建設工業新聞 10月 12日 記事掲載】

 国土交通省は、8日に閣議決定した政府の緊急総合経済対策を受け、厳しい環境下にある中小建設業の経営支援の取り組みを強化する。下請債権保全や元請の資金繰り支援を拡充するほか、地域の建設業者が建設関連分野で新市場を開拓する取り組みへの支援も強化する。緊急経済対策を盛り込んだ10年度補正予算案に関連費用を計上し、10年度中に実施に移す。
 
 
 経営支援強化策の柱は、▽下請債権保全支援事業の拡充・延長▽支払いボンドなど本格的な下請債権保全策の導入支援▽地域建設業経営強化融資制度の拡充・延長▽地域の建設業者の連携強化と技能者雇用によるエコ・耐震等の分野への事業展開支援-の4点。下請債権保全支援事業は、下請建設業者などが元請業者に対して持つ手形や売掛債権をファクタリング(売掛債権買い取り)会社が支払い保証する際に国が保証料を助成する仕組み。これまでは、元請業者が過去2年間に公共事業を受注していることを要件としていたが、公共工事受注実績要件を撤廃し、経営事項審査(経審)を受審していることを要件にする。さらに、支払い請求の段階だけではなく、下請契約の締結時にも保証の申し込みが行えるようにする。限度枠の範囲内で未払い部分を保全する保証限度枠方式も導入する予定だ。
 
 
 本格的な下請債権保全策の導入支援については、下請債権保全支援事業の原資である建設業債権保全基金の使途を拡充し、試行予定の支払いボンドの再保証に使えるようにする。保証料負担の軽減措置も取る。公共工事の代金債権を担保にして低利で転貸融資を受けられる地域建設業経営強化融資制度については、対象工事に病院や福祉施設、PFIなどの公益的民間工事を追加する。下請債権保全支援事業と地域建設業経営強化融資制度はいずれも11年3月までの時限措置だが、建設業を取り巻く状況が厳しいことから、12年3月まで延長する。
 
 
 地域建設業の支援では、インフラの維持管理や環境、耐震など成長が見込まれる分野で市場開拓に取り組む企業の取り組み(期間は2年程度)を支援する。複数の企業による連携強化や市場開拓分野の技能者雇用を条件に、新事業立ち上げ費用などを助成する。

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