2010/08/30 国交省/11年度予算概算要求/公共事業費0・5%減、成長5分野に重点配分

【建設工業新聞 8月 30日 記事掲載】

 国土交通省は27日、11年度予算の概算要求を発表した。一般会計の要求総額は前年度比2・2%増の7兆7079億円で、うち災害復旧を含む公共事業費の総額は10年度当初予算比0・5%減の4兆8342億円。10年度に「コンクリートから人へ」の方針に基づき大幅削減した公共事業費は、政権公約で掲げた削減数値を達成したとしてほぼ同規模を要求する。同省の成長戦略で示す国際展開・官民連携など5分野の施策の実現に重点を置き、国際コンテナ戦略港湾整備や官民連携による建設産業の国際展開、PPPによる社会資本の新たな整備・管理システムの導入などを盛り込んだ。
 
 
 前原誠司国交相は同日の記者会見で、「民主党がマニフェストで掲げた政権交代後の4年間で公共事業費を1・3兆円(農水省分を含む)削減するという目標を10年度予算の1年間で達成したことを前提に10年度と同額の公共事業費を要求した」と説明。厳しい財政状況などの制約がある中で「成長戦略の実現に向けて選択と集中で予算を配分した。民間資金を最大限に活用する施策展開も重視した」と述べた。
 
 
 一般会計の要求額のうち、1兆円超の規模の予算を成長分野などに弾力的に配分する「元気な日本復活特別枠」への要望額が7549億円を占め、主に高速道路の無料化や交通基本法関連施策の充実などを要求する。同省は概算要求に当たり、成長戦略分野の施策に加え、▽社会資本の着実な整備▽交通基本法関連施策の充実▽高速道路の原則無料化の推進▽安全、環境、地域の雇用・経済のための施策の強化-の4項目を柱に据えた。
 
 
 成長戦略は海洋、観光、航空、国際展開・官民連携、住宅・都市の5分野で、主な施策として国際コンテナ戦略港湾の整備・機能強化に10年度予算の1・5倍となる1313億円を計上。海洋権益確保のための海洋調査等の推進と遠隔離島の活動拠点整備に40億円を充てる。官民連携による建設産業や鉄道システムの国際展開の促進に10年度の5倍超の21億円を要求。PPPによる社会資本の新たな整備・管理システムの導入促進に49億円を計上し、コンセッション方式などの導入促進を目指す。

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