2010/07/14 国交省有識者会議/84ダム事業、再評価の流れ提示/中間まとめ案公表

【建設工業新聞 7月 14日 記事掲載】

 ダムに頼らない治水対策を検討している国土交通省の有識者会議(座長・中川博次京大名誉教授)は13日、中間とりまとめ案を公表した。見直し対象としている84ダム事業の再評価に向け、個別ダムの検証方法と複数の治水対策案の立案、評価軸などを提示。実施主体が検証方法の手順や手法からかい離した場合は、国交相が再検討を指示するとした。今後、パブリックコメントを経て今夏に中間とりまとめを公表。河川とダム事業の再評価実施要領項目を定め、個別ダムの検証に向けた検討作業に入る。
 
 
 中間とりまとめ案は10章立てで、1~2章で今後の治水対策の方向性などを説明し、3章で個別ダムの検証の進め方を示した。見直し対象については、は既に事業費を凍結している国・水資源機構が計画中の直轄ダムと、都道府県が事業主体となる補助ダムの合計84ダムと明記した。4~10章で事業検証の流れを説明。まず国交相が検討主体(地方整備局や水資源機構、都道府県)に個別ダムの検証を指示し、これを受けて検討主体はダム案と、ダム以外の治水方策(遊水地、雨水貯留施設、霞堤など26方策)を使った複数の治水案(2~5案程度)を作成、併せて利水代替策も検討するとした。
 
 
 治水・利水のそれぞれの評価軸(コストや実現性、環境への影響など8項目)に沿って総合的に評価し、最適案を絞り込んだ上で国交省に報告する。報告内容や有識者会議での意見を踏まえ、最終的に国交相が事業実施の是非を決める。中間とりまとめからかい離した検討が行われたと国交相が判断した場合は再検討を指示し、判断の理由などを公表する。中止を含め事業を見直す場合は河川整備計画の変更手続きに移る。
 
 
 治水の最適案は、各水系の河川整備計画で示す目標と同程度の安全性確保を前提に、実現性を確認しながら維持管理費用を含めよりコストが低い案を抽出するよう求めた。

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