2010/06/04 国交省/行政レビュー始まる/18事業を評価、地域木造住宅市場活性化は「廃止」

【建設工業新聞 6月4日 記事掲載】

 国土交通省の行政事業レビュー(省内仕分け)が3日始まった。初日は鉄道駅移動円滑化施設整備事業や道路事業(直轄・維持管理)など5事業の評価が行われた。8日までの4日間で計18事業の執行状況や問題・課題を議論する予定だ。判定結果や外部有識者らの意見は、11年度予算の概算要求などに反映させていく。初日の仕分け会場で前原誠司国交相は「超高齢化社会が進展し、ばく大な借金を抱える中で、従来の総花的な公共事業のばらまきは成り立たず、評価軸を変える必要がある」と強調。18の事業レビューの成果を生かしながら事業全体の無駄の削減や効率化を進める一方、「経済官庁である国交省(の所管事業)には成長分野があり、伸ばすべきところは徹底して伸ばす」と訴えた。


 同日のレビューでは、鉄道駅移動円滑化施設整備事業について、民間鉄道事業者に直接助成できない現状から、既存駅舎のバリアフリー化を進める過程に公益法人が介在する現行スキームの非効率性・不透明性などを指摘する意見が相次ぎ、6人の評価者のうち半数が「廃止」と判定した。この結果を受け、国交省側は公益施設のバリアフリー化の流れを継続しつつ、廃止を含めて事業を抜本的に見直すと結論付けた。


 地場産の木材などを活用した住宅整備を支援する「地域木造住宅市場活性化推進事業」については、地域材の利用促進という政策目的では必要性を認めながらも評価者全員が「廃止」と判定。国交省側も廃止の結論を受け、今後、新たな事業執行の仕方を検討していく方針を示した。


 全国の直轄国道(167路線、管理延長約2・2万キロメートル)の維持管理を行う道路事業では10年度予算として2089億28百万円が計上されているが、評価者からは「公益法人による1者応札の改善」「透明性を高めた業務発注」などを求める意見が出され、過半数が「抜本的改善が必要」と判定した。

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