2010/05/18 土工協意見交換会・関西地区/総合評価方式改善や低入札防止策など要望
【建設工業新聞 5月18日 記事掲載】
日本土木工業協会(土工協、中村満義会長)と公共発注機関が参加する10年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が17日、関西地区からスタートした。土工協側は、工事の品質と適正な利益の確保の実現へ向け、総合評価方式の入札のさらなる改善や、実効性のある低価格入札防止対策の実施などを各機関に求めていく。建設会社のキャッシュフロー改善へつながる中間前払い方式や出来高部分払い方式の促進も要望する。国土交通省が本年度から本格導入を開始した「総価契約単価合意方式」の普及拡大への期待感も高く、会員アンケートなども行いながら受発注者双方で協力して取り組みを進める。
関西地区の会合は大阪合同庁舎第1号館別館(大阪市中央区)で開かれ、冒頭、国交省近畿地方整備局の上総周平局長は、低価格入札対策へ注力する方針などを示し、「立場は違うが対等なパートナーシップで取り組むことが大事だ」と述べた。中村会長も「自助努力が大事だが、対等な立場で意見交換を活発にしたい」と語った。
意見交換では、土工協側が入札前の対策で3項目、入札後の対策では1項目を課題として挙げ、各機関に対応を求めた。入札前の対策では、総合評価方式の課題として、村田曄昭土工協公共工事委員長が「調査基準価格ぎりぎりを狙う価格競争になっている」と指摘。技術評価点で有意な差が付く評価項目の設定を求めたほか、技術ダンピングの防止や、現場説明会の試行拡大も必要だとした。近畿整備局側は、土工協側の問題意識に理解を示し、有識者委員会で技術ダンピングの防止策を議論していることや、ITを用いた現場説明会を近く試行することなどを説明した。
低価格入札対策で土工協側は、予定価格の事前公表が行われていることから「事後公表にすれば調査基準価格に張り付くこともないのでは」(村田委員長)と改善を要請。地方自治体からは「(調査基準価格に張り付いて)くじ引きになっているのは十分に認識しており、議論している」(奈良県)、「検討しているが、まだ(事後公表に)踏み切れない」と声が出た。さらに、本庄正史土工協積算・資材委員長は「最前線の方の意識が幹部の方とレベルが違う」と述べ、業界側、行政側ともに取り組みを現場まで浸透させることが必要だと述べた。
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