2010/5/18 主要ゼネコン10年3月期決算/手持ち工事が軒並み減少/粗利益率は改善傾向
【建設工業新聞 5月18日 記事掲載】
主要ゼネコン各社の10年3月期の連結決算が17日、出そろった。日刊建設工業新聞社が連結売上高1000億円以上の26社を対象に集計したところ、24社が減収となり、本業のもうけを示す営業損益も3社が赤字、10社が減益となるなど、厳しい市場環境を反映した決算となった。今期は国の公共事業費が大幅に削減され、さらなる市場縮小が不可避。前期の受注不振で期初の手持ち工事(繰越高)が軒並み減少となる苦しいスタートとなっており、採算を重視しながらいかに受注を積み重ねていけるかが大きなテーマとなりそうだ。
収益の先行指標となる単体の受注高をみると、10年3月期は19社が前期実績を割り込み、2けた減も相次いだ。繰越高が前期より減少した社も9割近い23社に上った。今期の受注は7割の社が反動などによる増を見込んでいるが、不透明な市場環境下で目標達成には流動的な面も多そうだ。
受注と手持ち工事の減少の一方で、工事採算は改善傾向。10年3月期に売り上げ計上した工事の採算を示す完成工事総利益(粗利益)率は、大手・準大手の一部が海外の大型工事の採算悪化の影響で下がったものの、半数を超す17社は上昇。26社の平均では6・4%と前期より0・3ポイント改善した。採算改善の背景には、過去に受注した低採算工事の終息と選別受注の徹底があり、加えて「鋼材などの資材価格が低下したことも寄与した」(大手幹部)という。
09年3月期は新興デベロッパーの経営破たんを受けて、貸倒引当金を特別損失に計上するなどで純損益が赤字になった社が相次いだが、不動産や投資有価証券の売却などに取り組んだことで10年3月期には11社が黒字転換した。今期は、再び上昇傾向にある鋼材価格などが収益の圧迫要因になる可能性もある。また、10月21日の供用開始が発表された羽田空港D滑走路や国際線旅客ターミナルといった一連の大規模工事が終わると、「国家的なビッグプロジェクトがなくなってしまう」(準大手幹部)などとして、市場の先行きを不安視する声も出ている。
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