2010/4/21 建設経済研/10年度建設投資見通し/名目9・0%減38・5兆円
【建設工業新聞 4月21日 記事掲載】
建設経済研究所が20日発表した建設投資見通しによると、10年度の名目建設投資は前年度比9・0%減の38兆5100億円の見込みで、地方自治体の投資的経費の減少幅縮小といった政府部門の修正などにより1月の前回予想から8200億円の上方修正となった。ただ、40兆円割れの見通しに変わりはなく、1977年度(約38・8兆円)を下回る水準で推移する見込み。景気に持ち直し感は出ているものの、建設投資への波及にはタイムラグがあり、国の公共事業も大幅減になることから、建設産業は一段と厳しい経営環境に直面するとみている。
10年度の建設投資見込みの内訳は、政府建設投資が15兆6900億円(前年度比18・3%減)、民間住宅投資が12兆9200億円(2・1%増)、民間非住宅建設投資が9兆9000億円(5・2%減)と予測。住宅着工の内訳は、持ち家が30・8万戸(6・9%増)、貸家が33・3万戸(7・4%増)、分譲が17・8万戸(11・8%増)となっている。政府建設投資の内訳は、建築投資が2兆0300億円(26・2%減)、土木投資が13兆6600億円(17・0%減)とした。
住宅分野については、贈与税の非課税枠拡大や住宅版エコポイント導入などの効果で最悪期は09年度で脱したとする一方、所得・雇用環境に大きな改善が見込めず、中古市場への需要流出も加味すると回復基調は限定的としている。分譲住宅については「首都圏は持ち直し、土地取得の動きなども活発化しているが、(事業ベースでは)全体的にあまり大きな動きは見られない」(同研究所)と分析している。
民間非住宅建設投資のうち、建築投資は6兆3500億円(6・5%減)、土木投資は3兆5500億円(2・7%減)。企業の設備投資に下げ止まり感が出ているが、非住宅分野への投資が回復するのは11年度と推測している。建築投資を着工床面積でみると、事務所が685・2万平方メートル(11・0%増)、店舗が625・7万平方メートル(17・4%増)、工場が683・8万平方メートル(27・5%増)、倉庫が510・1万平方メートル(32・0%増)と全般的に増加に転じているものの、水準は08年度の7割程度と予測する。
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら