2010/4/7 国交省/下請資金繰り支援事業の利用実績、9カ月の買取総額76億円に
【建設工業新聞 4月7日 記事掲載】
国土交通省は、下請建設業者の資金繰りを支援するための「下請資金繰り支援事業」と「下請債権保全支援事業」の利用実績をまとめた。下請業者が持つ元請向け債権を買い取る下請資金繰り支援事業(09年7月~10年3月)を利用した下請建設業者は延べ455社で、債権の買い取り総額は約76億3900万円(債権数1461件)。下請業者の元請向け債権を保証する事業として今年3月に創設した「下請債権保全支援事業」を利用した業者は同月末までで延べ28社で、保証総額は約3億4800万円(債権数84件)だった。
下請資金繰り支援事業は、景気悪化に伴う下請建設業者の資金繰りの円滑化を図るため、自公政権下の昨年7月に創設された。元請企業から工事を受注した下請企業が持つ工事代金債権をファクタリング(売掛債権買い取り)会社が買い取る際、国の助成で金利負担などを軽減する仕組み。工事代金の早期現金化を促す目的で当初は2年間の時限措置として運用される予定だったが、政権交代によって今年3月末で事業は打ち切られた。9カ月間で制度を利用した業者は47都道府県中35都道府県に分布。地方の業者にも広く活用された。
国交省は一定の資金需要に対応できたとして、今年3月1日からは、下請建設業者や資材業者の経営安定化に向けた新たな支援策として「下請債権保全支援事業」に移行した。新事業は、下請企業の元請向け債権の支払いをファクタリング会社が保証する際、下請業者が負担する保証料や、ファクタリング会社が保証を履行した場合の損失に対して国が助成を行う仕組み。運用開始から1カ月の実績では、47都道府県中13都道府県の企業が利用しているという。
ファクタリング会社は、下請資金繰り支援事業に7社、下請債権保全支援事業には9社が参加している。このほか、3社が同事業への参入を前向きに検討中で、運用は順調に進んでいるという。
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら