2010/03/17 国交省/企業の経営評価、公正・公平へ経審見直し/入札ボンドはBランクに拡大


【建設工業新聞 3月17日 記事掲載】

  国土交通省は、公共工事の入札に参加する建設業者が受ける経営事項審査(経審)で、機材も技術者も持たないペーパーカンパニーが不正に高得点を獲得するのを防止するため、制度見直しに着手する。10年度のできるだけ早期に中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)に審査基準の見直しを諮問。民事再生法や会社更生法の適用を受け身軽になった再生企業の取り扱いなども検討する。併せて、利益や技術者数の水増しといった虚偽申請のチェック体制も強化する。同省はまた、市場による企業評価の活用を促進するため入札ボンドの対象拡大も図る。
  前原誠司国交相が16日の定例会見で、入札契約制度のさらなる改善策として明らかにした。入札に参加する建設会社の経営実態をより公正に評価する観点から、「経審制度見直し」と「入札ボンド拡大」に取り組む。経審の見直しでは、ペーパーカンパニーが不正に高得点を獲得するのを防止するため、都道府県とも連携して立ち入り検査などを行い、現場レベルでの監督を強化。工事の丸投げによる完成工事高のかさ上げや、技術者の設置義務違反などを防止する。
  中建審に諮問する審査基準見直しでは、一度は経営破たんしながら法的更生手続きで身軽になり、経審で高い評価を受ける再生企業に対して不公平との指摘があることから、審査上の取り扱いを検討する。評価対象とする技術者の在籍期間に一定の要件を求めることや、企業の社会性評価のあり方なども審議し、秋口までには一定の方向をまとめてもらう方針だ。中建審が開かれるのは07年9月以来となる。
  自治体などでは、経審は入札参加資格審査以外にもさまざまな使われ方をしているが、必ずしも万能ではないことから、市場による企業評価の活用を促進するため、建設業者の契約履行の確実性を入札前に金融機関が審査・保証する入札ボンドの導入を拡大することにした。同省直轄工事ではこれまで、WTO政府調達協定が適用される大規模工事(予定価格7・9億円以上)に導入されてきたが、これを原則Bランク業者向け工事(同3億円以上)まで拡大する。導入件数は3倍に拡大する見通しだ。地方自治体にも導入・拡大を働き掛ける。

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