2010/3/4 10年度予算、09年度内の成立確定/公共事業18%減、地域への影響懸念根強く

【建設工業新聞 3月4日 記事掲載】

 公共事業費が前年度比18・3%減とされた10年度予算案が、2日夜の衆院本会議で可決、参院に送られ、年度内の成立が確定した。「コンクリートから人へ」のスローガンの下、社会保障などに予算を重点配分しようという政府・与党に対し、自民党と公明党は、建設業や地域経済への影響に対する懸念をあらためて表明。公共事業をめぐる与野党の主張は平行線をたどった。予算案は、参院での議決がなくても衆院通過後30日で自然成立するため、年度内に成立する。


 これまでの国会の論戦で、公共事業費をめぐっては、鳩山由紀夫首相が、1月29日の施政方針演説で、公共事業費から社会保障や文教科学費に予算を重点配分したことを「政権交代の成果」と訴え、マニフェスト(政権公約)でうたった、子ども手当の創設などに取り組む考えをあらためて表明した。その後の審議では、関係閣僚からも「予算の半分以上が社会保障費であり、全体のやりくりの中で、公共事業費を削り、予算の使い道を変える」(前原誠司国土交通相)といった方針が繰り返し示された。


 自民党の谷垣禎一総裁は、公共事業費が、ピーク時から既に半減している状況を指摘し、「『コンクリートから人へ』の転換は、既にわれわれが政権を担っていた時代になされている」と主張。自民党の加藤紘一氏は「公共事業費を必死の努力で半減させている。だから、百年に一遍のときには公共事業で景気刺激してもいい」と述べ、景気の「二番底」に備える必要性を強調した。「公共事業の急激な削減によって、地域経済を担う中小の建設業、関連中小零細企業は厳しい状況に置かれている」(公明党の井上義久氏)といった意見も出された。


 こうした反論に対し、政府からは、「長い目での経済効果を生み出さない公共事業が止められなかったのはなぜか」(菅直人副総理兼財務相)と前政権までの政策を批判する声が上がった。

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