2010/2/5 土工協・中村満義会長が会見/生き残りへ10年度が正念場/ODAに期待感
【建設工業新聞 2月5日 記事掲載】
日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は4日の理事会後に記者会見し、建設経済研究所が先に10年度の建設投資額が40兆円を割り込むとの見通しを発表するなど、建設投資の先行きに厳しさが増していることについて、「この予算ではやっていけないと判断すれば政府は手を打つはず。(景気対策の)効果があるかどうか見守り、耐える以外ない」との見方を示した。村重芳雄副会長は「3年先、5年先ではなく10年度をいかにクリアするかがわれわれにとって非常に重たい課題だ」と指摘。「景気が良くなれば明るさも見え、生き残ることもできる」と述べた。
建設投資の縮小で受注競争が激しさを増していることについて中村会長は、「それぞれの経営判断であり、競争の中で収支が合うのであれば、それは企業努力だといえる。(会長として)激しい競争をやめようと言ったことはない。各社の感覚でやるべき問題だ」と述べ、各社の経営判断によって競争が激しくなるのであればやむを得ないとの考えを示した。受注の減少が雇用に与える影響については、「受注が減って人数が同じであれば経営はつらくなる。どうアジャストし生き残っていくかは各社の経営判断だが、余裕があるわけではない」と述べ、今後雇用に影響が出る可能性を指摘した。
国土交通省の成長戦略会議が検討しているゼネコンの海外進出について、竹中康一副会長は「韓国は2030年までに原子力発電所を80基受注する目標を立て、大統領が率先して各地を回っている。われわれが期待するのは国としての対応だが、そこまでは考えていないのではないか」と指摘。中村会長は「ODA(政府開発援助)案件で政府が日本企業を使えと言ってくれるのが最大の援助」などと述べ、政府の支援策に期待感を示した。
土木分野でのPPP(公民連携)やPFIの展開について、中村会長は高速道路を例に挙げ「民間資金を導入して整備を進める一方で、通行料を無料化すれば財源が出ない」と高速道路の無料化政策に疑問を投げ掛けた。さらに、「事業を受注できるのは一つのグループだが、応募には多額の費用が必要になる」と入札契約手続きの課題を指摘した。
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