2010/2/1 前原誠司国交相/高速料金の割引原資、新規建設にも投入へ/法改正を検討

【建設工業新聞 2月1日 記事掲載】

 前原誠司国土交通相は、高速道路料金の割引原資などに充てている道路整備事業財政特別措置法に基づく「利便増進事業」の財源を、高速道路の建設にも使えるよう法改正する方向で検討に入った。道路特定財源の一般財源化や国の財政悪化で、必要な道路を造るための資金が不足した場合の穴埋めとして使う考え。同特措法改正の検討に加え、同省政務三役と省外の有識者で構成する委員会も設置し、整備財源の確保を含めた高速道路の整備のあり方について、抜本的な見直しに向けた検討も開始する。

 前原国交相は1月29日の閣議後会見で「国の財政状況が厳しい中で、道路の新規着工を抑制する方向は変わりない」としながらも、「必要な道路は造らなければならない」と述べ、そのための財源確保に向けて、道路整備事業財政特別措置法の改正を検討していることを明らかにした。

 同特措法は、国民の利便性増進と地域活性化を目的に08年度に制定された。現在は、高速道路会社が行う通行料金の割引に対する補てんと、地域で整備する高速道路の簡易料金所(スマートインターチェンジ)の二つを同法に基づく「利便増進事業」として、国が財政支援している。利便増進事業に対する財政支援は18年までの暫定措置で、既に10年間分として3兆円が予算措置済み。毎年2500億円程度の資金が使われるが、その大半は高速料金の割引原資に充てられているという。前原国交相は、法改正で使途を見直し、資金を高速道路の新規建設にも投入できるようにする検討に入った。

 資金の一部が建設費に回れば、料金割引は縮小される可能性もある。このため、道路整備の財源問題を含め今後の高速道路の整備や料金体系のあり方について、外部の専門家も交えて検討する委員会も設置する。前原国交相が座長、馬淵澄夫副大臣が事務局長を務める予定で、委員の人選を進めている。国交省の10年度予算案では、公共事業関係費は4兆8585億円(前年度比15%減)。このうち道路整備費は9821億円(20%減)となっている。

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