2010/1/18 通常国会、1月18日召集/公共事業の抜本改革へ、直轄負担金廃止など審議

【建設工業新聞 1月18日 記事掲載】

 通常国会が18日召集される。「コンクリートから人へ」の転換を掲げる鳩山政権の下、この国会では、公共事業の抜本改革に向けた予算や法案が審議されることになる。景気対策などとして公共事業に手厚い予算配分を行ってきた自公政権とは異なり、福祉や環境などを切り口に成長戦略を描く鳩山政権は、10年度予算案で公共事業関係費を09年度比15%減と大幅に削減した。「脱公共事業」ともいえる予算編成に、国会でどのような議論が展開されるのかが注目される。


 国の直轄公共事業の費用の一部を地方自治体が負担する「直轄事業負担金制度」の13年度全廃に向けて、今国会ではまず、修繕費を除く維持管理費と業務取り扱い費の地方負担分を廃止するための法案も審議される。成立すれば、10年度の地方負担は1580億円も軽減するが、国の直轄事業は維持管理費分に予算を割かれることになり、公共事業費は実質的には15%減よりもさらに縮小することになる。負担金が全廃されれば、都道府県にまたがるような広域的な道路網整備などを手掛ける国の予算はさらに縮小する。


 高速道路の整備計画を審議する国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)を廃止し、これに代わる仕組みを定める法案も審議される。新たな仕組みでは、国土交通相の諮問機関である社会資本整備審議会(社整審)で高速道路の予定路線の決定や路線の指定、整備計画の策定などを審議した上で、国会の予算審議の中で最終決定する。


 一方、前原誠司国交相が今国会への提出を目指していた「緑のダム法案」と、ダム建設事業を中止した場合の関係住民らに対する補償内容を定める新法案の提出はともに見送る。緑のダム法案は前原氏自身が打ち出す「ダムに頼らない治水」を実現するための布石の一つ。ダムに代わって森林整備によって山の保水能力を高め、川に流れ込む水量を減らし、洪水を防ぐ仕組みを法律で規定するものだが、同省が設置した有識者会議が今夏にダム建設を中心とした従来の治水対策に代わる新たな対策(中間まとめ)をまとめる予定であることを考慮した。

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